東京高等裁判所 昭和51年(う)1059号 判決
被告人 関口昇
〔抄 録〕
所論は、原判示第一の事実につき、原判決が常習累犯窃盗の要件として掲げる前科のうち、「昭和四一年八月五日熊谷簡易裁判所で窃盗・同未遂罪により懲役六月(二年間執行猶予、同四二年三月二四日右猶予取消)に処せられ昭和四四年八月二六日右刑の執行を受け終わり、昭和四二年一月二五日浦和地方裁判所熊谷支部で住居侵入・窃盗、窃盗・準強盗罪により懲役六月以上一年以下および懲役二年六月以上三年以下に各処せられいずれも昭和四六年一〇月一二日ころにそれぞれその刑の執を受け終り」との点につき、少年法六〇条一項によれば、「少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終り、又は刑の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向って刑の言渡を受けなかったものとみなす。」とされているから、右二つの前科については、原判決のように常習累犯窃盗の要件とすることを得ないものであり、原判決にはこの点において重大な法令の適用の誤りがあるというのであるが、所論引用の少年法の条項は、「例えば一定の刑に処せられた者は選挙権、被選挙権を有しないとか、公務員又は弁護士になることができないとかを定める公職選挙法一一条、国家公務員法三八条、或いは弁護士法六条のような各規定をいうもので、刑の執行猶予または累犯に関する刑法に関する規定はこれに該当しない」ものと解されているのであって(昭和二七年二月二一日、東京高等裁判所第一二刑事部判決、高刑特報二九号五一頁参照)、この趣旨からすれば、累犯の場合に準ずべき本件常習累犯窃盗に関する盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律三条、二条の場合にも少年法六〇条一項は適用されないものと解すべく、これと同趣旨の原審の判断は相当であり、論旨は理由がない。
(服部 藤井 中川)